東近江で離婚・相続・賠償・借金の法律相談なら八日市駅前法律事務所

法律コラム

2022年10月

よくあるご質問-弁護士の専門性について

今回は、よく受ける質問のひとつとして、弁護士・法律事務所の「専門性」についてお話ししたいと思います。
よく「何を専門にされてますか」(あるいは「○○を専門的に取り扱っておられますか」)というご質問なりお問い合わせを頂くことがあります。いつも何と答えようかと迷ったすえ、結局、「特に専門的に取り扱っていることはありません」とお答えしています。
今回は、何故、迷いつつそのようにお答えしているのか、その率直なところをお話ししようと思います。
私の理解では、「専門的」に取り扱っている(あるいは「これが専門です」)と言えるためには、(A1)その分野が、他の弁護士なり法律事務所なりが余り手がけていない個性的で専門的なものであること、あるいは、(A2)一般的な分野ではあれ、その分野に他の弁護士よりも明らかに知悉している(習熟している)こと、そしてこれに加えて(B)その分野の仕事が、業務のうえで相当の比重を占めていることが必要であるように思われます。
(A1)について言うと、例えば医療過誤や知的財産権、渉外(外国)絡みのもの、税務関係の案件などがそうした分野として挙げられると思います。企業の法務問題も一部ここに含めて良いと思います。ただ、こうしたある程度レアな案件を相応の比重をもって手がけるということになると、必然的に都市部の弁護士なり法律事務所なりということになりがちです(田舎にもおられなくはありませんが)。私は要件を充たしませんので、(A1)の意味で専門的に取り扱っている弁護士ということにはなりません。
では(A2)はどうか。例えば、離婚や相続、お金の貸し借り、借金の処理、相隣関係(お隣さんとのもめ事)、損害賠償問題、不動産問題といったような一般的な分野のものは、私もそれなりの数を取り扱ってきましたし、(B)の意味でも、その比重はある程度に達していますので、あつかましく言うなら、それが専門ですと言っても、あながち嘘ではないのかも知れません。ただ、これらの分野は非常に一般的である分、どの弁護士もある程度の数をこなしていて、スキルを備えています。その結果、ある程度きちんとした能力を備えている弁護士は決して少数派ではありません(そんなに多数派でもないと思いますが)。そこを掻き分けて、「自分は専門的に取り扱っているのだ」(他の弁護士や法律事務所よりも余程精通しているのだ)と言うことは、正直、私には憚られます。そこまで言い切る自信はありません。と言うわけで、「経験はあるし、水準的な能力は備えているはずだ」といういささかの自負はありつつ、やはり(A2)の意味でも、専門的に取り扱っているとは言いにくいのです。
そうして、結局、「特に専門的に取り扱っていることはありません」とお答えすることになるわけです。
この自己PRがもてはやされる時代にあって、「何を甘えたことを」「後ろ向きな」とお叱りを受けるかも知れませんが、これが実態です。ただ、最近では、明らかに「なったばかり」の弁護士が、臆面も無く「得意分野」とか「専門分野」とか言っているのを見かけることがあり、それに比べれば「正直なだけまだマシだ」と自分では思っています。