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法律コラム

2023年02月

幸せな光景

大きな自転車の前と後ろに大きな子乗せをつけて四苦八苦しているお母さん。小さなお子さんを周りにウロチョロさせながら、ベビーカーを押しているお母さん。実際のお母さんの心中はさておき、「きっとお母さんにとって最も幸福な時期のひとつに違いない」と勝手に考えています。
仕事柄、離婚は身近で、色々な夫婦のパターンを見てきました。
世の中には、人格的に何か欠けているから離婚することになったんだという方もおられます。しかし、経験的に見る限り、婚姻関係の継続と人格の優劣とは直接的な(あるいは必然的な)関連性はなさそうです。不完全な人間同士の1対1の関係ですので、上手くいかないことも多々あって当然という気がします。合わないなら別れればいいというのも割り切った考え方ですが、その間に子どもがいる場合には、そう簡単にいかないこともあります。
余程のことがない限り、離婚や親権という選択それ自体に関して、私から率先して意見を申し上げることはありません。
ただ、例外というか、思わず口を挟んでしまうパターンがいくつかあります。ひとつは、お母さんがお子さんのことを手放そうとされているパターンです。滅多にないパターンですが、余程のことがあっての決断なのは明らかなので、本当は口を挟むべきではないと思いますが、思わず口を挟んでしまいます。もうひとつが、「ふた親揃っていたほうが子どものためだから」とお母さんが離婚を躊躇っておられるパターンです。でも、それだけなら私も口を挟んだりはしません。思わず口出ししてしまうのは、私から見ると酷い扱いを受けているにもかかわらず、子どものためと考えてお母さんが(無理に)離婚を思いとどまろうとしている場合です。そうした場合、私は「これは弁護士としてではなく、あくまで個人的な意見として申し上げるのですが…」と前置きをしたうえで、「必ずしも、そうした考え方に縛られる必要はないのではないか」ということを申し上げます。確かに、お子さんは片親で辛い思いをすることもあるかも知れないけれど、きちんと大切に育ててあげれば、そのことはきちんとお子さんには伝わるし、その方が不仲な両親のもとで育つより、かえって幸せなこともあるのではないかとお話しします。そう思うには私なりに理由があります。ときに離婚したお母さんが何か別に困りごとがあって相談に来られることがあります。そして、その際、ちょっと大きくなった(でも成人前の)男の子や女の子が、お母さんの応援団みたいな感じでくっついて来て、横から「そんなこと言ってたらアカン」「こうした方が良いって」みたいに熱心にサポートすることがあります。お母さんも何のかんの言ってもお子さんを頼りにしている様子が見て取れます。そんな光景を目にすると、「ああ、このお母さんは、お子さんを大切に育ててこられたんだな」と思います。それが分かっているから、お子さんもお母さんのことを大事に思って(「頼りないし、自分が助けなければ」と思って)ついて来て色々と口出しするのだろうと思います。そんな光景も見ているので思わず口出ししてしまうわけです。
小さなお子さん連れのお母さんを見て、その近くにお父さんらしき人の姿がないと、「仕事なのかな」と思ったり、「離婚してシングルなのかも」と思ったりします。あるいは、最初から一人で育てようと思って出産されたのかも知れません。そのいずれであっても幸せな光景に違いはありません。いずれにせよお子さんがすくすく育つと良いなと思います。他人事なのに不思議なものですね。