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法律コラム

2023年09月

好戦的であること。

私が弁護士をしていて難しいなと思うことのひとつは、どの程度冷静に振る舞い、どの程度好戦的に振る舞うことが、その場その場の状況からして、最も適切なのかということです。
弁護士は法律の専門家ですので、まずは冷静沈着に振る舞うように求められているように思われますし、そうでないと依頼者さんに無用な心配をおかけしてしまうことになりそうです。
ただ、弁護士の仕事には、ある意味では「敵」となる「相手方」がいることが常ですので、依頼者さんを同行しての手続きで、あまりこちらが冷静だと、依頼者さんとしては、熱意があるのか心配になってしまわれるようで、それもまた由々しき事態です。少しくらい好戦的に映るくらいが頼もしく思われるようです。
そこで、最初に申し上げたような迷いが生まれます。
私としては、どんな場面でも、できれば冷静でいて、いたずらに好戦的になることは避けたいと考えており、基本的にはそのように振る舞うようにしています。それが最終的には依頼者さんのためにも有益と感じています。ただ、そうすることで依頼者さんにいらぬ誤解を与えないよう、自らの言動の理由を説明するようにはしています。今のことろ、それが私のこの問題についての基本的なスタンスです。
ただ、こうした事情とは別に、ある程度好戦的に映っても、強く主張することもあります。それは、明らかに不合理なことを一方的に押しつけられそうな状況になっていて、それを絶対に容認できないときちんと明確に伝える必要がある場合です。それが相手方(敵)からのものであれば、いつも通り冷静に反論すれば足りるのですが、問題なのは、それが「裁判官」によるものである場合です。これは大問題です。誤解のないように申し上げておくと、ほとんどの裁判官は良識的で、少なくとも合理的な人たちではあるので、そうした事態には陥らずに済みます。ただ、残念なことに、中にごく少数ですが例外的な方もおられます。そのため、(本当は避けたいところですが)やむを得ないと覚悟して、思い切って抗議しなければならない事態が生じます。
しかし、相手は判断権者ですので、基本的には自分の方に分があるといわんばかりの態度で、「まあ、判断の分かれるところですし、お立場も分かりますがね」みたいな対応で、こちらをまともに相手にしないよう振る舞います。さらっと「いなして」しまうわけです。でも、それではこちらとしては話になりませんので、「そうした問題ではないでしょう」と、いささか好戦的に映っても仕方ないと覚悟して、さらに強く抗議します。それでも裁判官は態度を変えません。「まだ言うのか」という態度を取ります。ここまでくると、こちらも「(自分では優秀だと思っているくせに)不合理なことを言っていることにも気づかず、立場を笠に着て偉そうにしやがって」という気持ちになってしまいます。その結果、余計カッカして強く抗議することになります。
ここまでお話しすれば、お分かりとは思いますが、それでも裁判官は態度を変えません。
ということで、意を決して抗議しても、ほとんど効果らしい効果も生みません。ほんとに馬鹿みたいだと思います。いささかげんなりもします。でも、そうなると分かっていても、立場上、言わざるを得ません。まあ、依頼者さんはとても喜んで下さるのですが。