法律コラム
夏の思い出
50数年も生きてくると、季節毎に色んな思い出が出来ますね。読まれる方には全く無意味と承知してはいるのですが、ほかに書くことも思いつかないので、ご容赦下さい。
暑い盛り、「盛夏」ということで最初に思い出すのは、何といっても司法試験の受験時代です。一番暑い時期に最も困難な論文試験がありました。私は京都会場で受験していましたが、京大は暑かった(同志社は涼しかった)。皆すごく気合いが入っていて、気圧される感じでした。あのころは実によく勉強した。
次に思い出すのは、実務に出て1年目の夏で、当時は神戸地検の刑事部にいました。社会人1年目は皆同じだと思うのですが、私も慣れない仕事が辛くて、毎日逃げ出したい思いでした。周囲にも恵まれて何とか乗り切りましたが、いや~辛かった。
その次というと検事を辞めた年の夏でしょうか。挫折感もあってなかなかに辛い暑い夏でした。ただ、とりあえず行き先はあったので、そんなに焦らず、のんびり暮らしていました。毎日夕方になると妻とぶらぶら散歩に行ったり、エアポケットのような時期でした。お金の心配はありましたが、今思うと悪くなかった。まだ夫婦二人で若かったですし。
弁護士になり、特に子どもが生まれてからは、妻の母方の実家の大分に毎年帰省(旅行)していたのが夏の一番の思い出です。私は両親とも大阪の出で、いわゆる「田舎」というもののない人間なので、とても新鮮な経験でした。夏休みの開放感も手伝って、そこには何とも言えない喜びがあったように思います。そのころは妻の祖母がまだ存命で、息子を「ひいばあちゃん」に年に1度会わせる良い機会であり、息子にとっても人生の宝になったと思います。今でも九州と聞くだけで、郷愁のようなものを感じるくらいです。
そんな風にして、夏には辛い思い出や楽しい思い出が沢山ありますが、後で振り返った時、今年(2024年)の夏はどんな風に感じるんでしょうね。いまのところ、今年の夏は一生懸命自転車に乗って大汗を流しており、家族旅行では初めて岩手県に行きました。中尊寺が立派なことや、盛岡が思っていたよりも遙かに都会であることに驚きました(残念ながらレコードの出物はありませんでしたが)。遠野も雰囲気があってなかなか良かった。まあ平凡な日々ではありますが、それなりに良い思い出になっていそうな気がしています。でも、平凡と思える日々を過ごせることが、やっぱり一番ですよね。