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法律コラム

2026年06月

言葉にならない。

なかなか堪えることがあり、音楽が身に染みます。
前にラジオで山下達郎さんが、「音楽に社会を変える力はないけれど、辛いときに人に寄り添い、励ます素晴らしい力がある」と話しておられました。本当にその通りだと思います。
私にとって、一番思い出深いのは、母が亡くなった病室で聞いた音楽です。
母は長く意識がなく、最後はスッと息を引き取るように静かに亡くなりました。早朝に病院から連絡を受けて駆けつけると、母は静かに息を引き取っていました。姉は遠方から病院に向かっている最中で、一緒に来た家族も席を外しており、私は病室で母と二人きりになりました。それは、とても天気の良い、秋晴れの休日の朝で、病室には明るい日が差し込んでいました。その時、私は、無性に何か音楽が聴きたくなり、スマホに入っていた音楽をかけました。それはCDではなかなか手に入らないため、ダウンロードした音楽でした。明るい弾むようなテンポのピアノ曲でした。明るい日差しの中、その曲に耳を傾けていると、私は心が落ち着いて、何だか救われたような気持ちになりました。日差しもあり、母が祝福されて天に昇ったように感じました。母はいい人生を送ったんだと、根拠もなくそう感じました。
最近、音楽を聴いていて、それと同じような思いを味わいました。それはフランスの古いシャンソンLa belle vie(Tonny Bennettがカバーしたことで有名)で、ベテランの二人が、オーケストラをバックにのびのびと演奏していました。演奏する喜びに溢れ、明るい世界に迎え入れて、祝福を与えるように響く音楽でした。聴いていて胸が熱くなりました。
人はそれぞれ固有の思いを抱いて生きて、そして死んでいきます。
苦しみや迷いは、最後は空気に吸い込まれ、どこかに消え失せます。
でも、その人がかつて存在したという事実は消えません。それは温かい思い出となり、人の心に残ります。
総体として幸せな人生であったと思って目を閉じてくれたらなと、そう願わずにはいられません。
うまく言葉になりません。