法律コラム
大学院だと…
息子は現在3回生なのですが、先日、大学院(修士課程)に進学したいと相談されました。
私は世代も違いますし、文系(法学部)だったこともあって、今でもピンときませんが、息子の話では、最近は理系では大学院に進学するのはごく普通のことのようです。
正直「浪人しておいて、まだ2年も余計に行くのかよ」「いい加減、社会に出たらどうだ」とも思いましたが、勉強がしたいから進学したいという前向きな話でしたし、人生で学問に打ち込む期間があってもよかろうかと思い、許すことにしました。自分も司法試験浪人を2年していて「脛に傷持つ身」でもありますし。
ただ、原則として修士までだと釘を刺し、親としてお金を出すのは「学費だけ」で、あとは奨学金を借りるなり何なりして自分で工面するよう伝えました。自分の希望(趣味)であえて進学するのだから、その程度の負担は当然自分ですべきだと思いましたし、身銭を切る覚悟がないのなら、本物とは言えないと思ったからです。息子は当然のこととして、それを受け容れました。
などと今では偉そうなことを言っていますが、自分が同じ年頃だった時のことを思うと、忸怩たるものがあります。その頃の私は、未熟で、不完全で、世間知らずで、司法試験になかなか受からず、実家で悶々とした日々を過ごしていました。皆社会に出て立派になっていくのに、俺は一体何をしているんだろうと情けない思いをしていました。冬のまだ夜明け前、こたつに入って横になり、自分の前途について考えては絶望的な気分になっていたことを思い出します。そのために彼女(今の妻)も待たせてしまっていました。
それに比べると、息子は何と立派なことか。
全て知っている妻は「そんな偉そうなこと言っちゃってさ」といった目で、横から私を見ていました。言うまでもないですが、妻は息子の味方です。
でもさ、言わなきゃ仕方ないじゃないか。
立場上さ。